秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

――雨だ。

そう気がついた時には遅かった。
急いで帰ろうとするのも虚しく、一気に速まった雨足に、仕方なくまた店の軒下へ戻るしかなかった。

‥‥あ、そうだった。
今日は途中から雨が降るって予報で、確か今朝自分で柊ちゃんに傘を持っていくようにいったんだった。

またまたガクっと肩を落とす。
私が忘れてるよ‥‥。

店の軒下で、本降りになってきた雨を泣きそうになりながら見つめる。

いつまでもここにいるわけにもいかない。
家まで走ればなんとか‥。

そう決心して走りだそうとした時だった。

目の前で1台の車が停車した。
そのまま突進するわけにもいかず、また軒下へ退く。

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