秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
海斗さんと食事
食事って‥私と、海斗さんが?
「仕事の事で話がしたくて、
食事でも御一緒したいと思っていたんですけど‥駄目ですか?」
いきなり食事に誘われて、思わず目をぱちくりとさせる。
でも、断る理由も無かった。
そうだよね、海斗さんにとってはこれも仕事の一部なのだろう。
一瞬プライベートで個人的に誘われたのかと勘違いした自分が酷く恥ずかしかった。
「私でよければ‥」
「良かった」
そう言って、
一瞬見とれてしまいそうになるほど綺麗に微笑まれ、自然に腕を取られた。
そのまま車の助手席に傘をさしてもらいながら乗せてもらう。
おかげで、ひどい雨だというのに一滴も雨で濡れる事は無かった。
一泊おいて海斗さんも運転席に座った。
そう言って車は走り出した。
海斗さんの車はATじゃなくてMTだ。
ガチャガチャとギアを替える左手をついつい目で追ってしまう。
「あの、本当にすみません。車に乗せていただいて‥」
「謝らないで下さい。勝手に食事に誘ったのは俺です」
ふと仕事の時とは違う海斗さんの一人称の変化に気づいた。
◇