秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

柊ちゃんが営業スマイルじゃなくて本当嬉しそうな顔をして笑っているのをみて、私も嬉しくなった。

次にもう一人の男性に挨拶をする。

「初めまして。aria芸能プロダクションの最上です。」

「秘書の九条です。
よろしくお願いいたします」

そう言ってお辞儀をすると、お辞儀を返してくれた。

スラッとしたモデル体型に、ブラウンがかった髪。少し冷たさを感じさせるような綺麗な瞳。

‥‥ん、今度の舞台か何かで出演される俳優さんかな?

思わず見とれてしまいそうになるその容姿に、ふとそんな事を思った。

「初めまして。成宮海斗と申します」

「えっ、成宮‥?」

柊ちゃんが、意外そうに声をあげる。

「成宮誠の息子です。劇場経営を学びながら、父の元でaria etoile劇場で働いております」


「「‥‥‥‥。」」


思わず柊ちゃんと顔を見合わせて、目をぱちくりとさせてしまった。

成宮さんの‥‥息子さん‥‥!?

全くといってよい程共通点が見つからずにきょとんとしてしまう。

それに劇場で働いてるってことは、俳優さんじゃなかったんだ。
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