秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
連れてきた貰った劇場は、
昔一度来たことのある劇場だった。
あまり広い劇場ではないが、少しこじんまりした建物がいい。
さっき車の中で最上さんに貰った舞台のパンフレットを見ながら劇場に入った。
日本文学作品である、武者小路実篤の『友情』を舞台化したものだ。
「このダブル主演の二人って、
新人さんですか?」
席につき、パンフレットを指差しながら最上さんにそう尋ねる。
「うん。まだ有名ではないんだけど、実力があるって注目されてる新人」
さっきよりも近い位置で最上さんの声が聞こえて、
思わず心臓が跳ねた。
今日改めて自覚した。
‥‥私は、
いくらなんでも男性に慣れていなさすぎだ。