秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「そうなんですね」
なんだか妙に緊張して、
また素っ気ない声でそう返してしまった。
別に─‥別に、
返事が素っ気なくなってしまったって
落ち込む理由なんてない。
最上さんは私の婚約者でも、
ましてや恋人ですらない。
数回のデートが終わったら、
私達はただの他人同士に元通りだ。
‥だからどう思われようが関係ない。
「‥‥‥‥。」
思わず唇をきゅっと噛んだ所で、開演のブザーが鳴った。