秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「雨、強くなってきたな」

来たときよりも強まった雨足に、
最上さんがそう呟く。

「そうですね」

「もしかして今宵さん、雨女だろ」

「なんですかそれ、違います。‥‥どちらかというと、雪女です」

小さな頃から修学旅行や家族旅行や受験なんかはいつも狙ったように大雪だったから正直にそう言うと、
最上さんにクスっと吹き出された。

「そうかそうか、今宵さんは雪女なのか」

「笑わないで下さい。
私が雪でどれだけ苦労してきたと─‥」

思ってるんですか。
そう言いかけた時だった。

通りの向こう側の、
見覚えのある人影に気がついて凍りついた。

「‥‥‥‥。」

咄嗟に気づいていない振りなんて出来ずに思わず足を止めてしまった。

それに気がついた最上さんも、私の視線をたどって目を見開く。

───‥九条さんだった。

よりよって、それも一人ではない。
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