秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
好きな人の幸せを願う


カツカツ‥と足音が聞こえてきて、
思わずビクッとした。

──‥柊ちゃんの足音だ。

間違ったりしない。

「‥‥‥‥。」

いつもインターフォンを確認しないで玄関を開けては柊ちゃんに怒られて懲りないはずなのに、

今日だけは最高潮に気まずくて
扉を開けられなかった。

くるまっていた毛布をズルズルと引きずりながら玄関へと向かうと、カチャリと音がして玄関が開いた。

少しだけ雨に濡れた柊ちゃん。


「‥‥お、おかえりなさい」

「ん、ただいま」


上手くおかえりを言えなかった私に、柊ちゃんがいつも通りの優しい声でただいまと返す。

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