秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
──九条さんは最上社長の事が好きなんですね
海斗さんの言葉が強くフラッシュバックして、卒倒しそうになった。
ど‥‥しよ、
柊ちゃんの顔がまともにみられない。
二人の間に流れた少し気まずいような沈黙を破ったのは、柊ちゃんだった。
「若菜、成宮さんと一緒だったんだな」
そう言う柊ちゃんの声は、いつもよりもずっと低くて戸惑った。
「え?あ、うん。たまたまばったり会って、それで、ご飯に誘われて」
しどろもどろになりながらそう答える。
一瞬どうして修ちゃんがそんな事を知っているのかと驚いたが、そういえばお互いに目を合わせた店先での事をすぐに思い出した。
「たまたま会って食事って‥‥。
いつもの若菜ならそういうの断ってるのに、成宮さんだったらいいんだな」
柊ちゃんが、らしくもない少し刺のあるような声でそう言う。
明らかに皮肉めいた物言いに、
思わずカッとなって返した。