秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
成宮さんはそんなお母さん─西野明日香の大ファンなのだ。
確か、お母さんが初めてエトワールで迎えた舞台の千秋楽の日に、成宮さんが100本のバラの花束をお母さんにプレゼントしたのだとお父さんが複雑そうな顔をして語っていた。
そんな事を思い出して心の中でクスリとしながら、二人を奥のソファへ案内する。
「立ち話させて申し訳ありません、こちらへどうぞおかけになって下さい」
「お、ありがとう」
「失礼します」
四人で向かい合う形になって座り、
話は本題に入った。
「実は、私ももう今年で還暦でね。今年中に引退して、エトワールを海斗に任せようと思ってる。ただ、引退前の一仕事に、海斗と共同でその、やりたいことがあってだな。でもまぁそれがちょっと大がかりで‥‥今日はその相談に」
「やりたいこと─と言いますと?」
柊ちゃんがすっかり社長の顔で尋ねる。
すると、成宮さんが一息ついて答えた。
「単刀直入に言うと、エトワール劇場の舞台に、プラネタリウムを付ける改装工事を行いたいと思ってる」
「‥‥‥‥!」
柊ちゃんが目を見張る。
プラネタリウムを‥‥舞台に‥?