秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「わかったよ!でもオリオン座って冬の星座でしょう。私さっき夏の大三角形見つけて‥‥あ、れ?」

同じ星空に、夏と冬の星座が並ぶ事ってあるの?

「若菜、あれは夏の大三角形じゃなくて、冬の大三角形だと思う」

「えっ」

笑いを堪えるかのように少し肩を揺らす柊ちゃんにそう指摘されてハッとする。

冬の大三角形。
‥‥確かに聞き覚えがある。

うつむいた顔は恥ずかしくて赤い。

「柊ちゃん凄いね、同じ三角形なのに冬か夏の見分けがつくんだ‥」

「んー?同じ星空に冬と夏の星座を一緒に並べる若菜の方が凄いと思うけど」

そう言われて見上げた横顔は、暗くて表情まではよくわからなかったけど、きっと意地悪な顔をしているに違いなかった。


それからずっと、
二人であれは何座だ何座だと言いながら星空を眺めた。

声は抑えなくていいはずなのに、お互いに飛び交う声は小さい。

なんだかそれが恥ずかしいような嬉しいような気持ちで一杯になって。

作り物の筈の星空はまるで本物のようで。

堪らなくなって、泣きそうになった。

この世界に、
まるで二人きりでいるみたい─‥。

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