秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

成宮さんとは付き合わない。

──だって、柊ちゃんの事が大好きだから。

‥‥自覚するには遅すぎた。
本当はもっと一緒にいたい。
それでも、このまま婚約者のいる柊ちゃんの側に居るなんて耐えられない。

柊ちゃんと今宵さんの邪魔になるなんて、そんな事出来ない。

苦しいけど、
それでも好きな人には幸せになって欲しい。


「‥‥‥。」


「やっと若菜を貰ってくれる人が現れたな」

二人の間の気まずいような雰囲気を破るように、柊ちゃんがおどけるようにそう言った。
胸が痛むのはきっと嘘をついている罪悪感だけではないけれど、私もクスッと笑いながらそれに乗った。

「やっとって失礼な」

「本当の事だろ」

柊ちゃんがそう言ってからかうように意地悪に笑ってから、視線を
私から天井の星に移した。







< 193 / 276 >

この作品をシェア

pagetop