秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「すごいね柊ちゃん、いつ気づいたの?」

「さっき。
窓から見えてもしかしたらって」

「へぇ~」

そう言ってベランダの窓に手をかけ、ぎょっとする柊ちゃんをよそにサンダルをひっかけてから鍵をあけてベランダに出た。

びゅうっと冷たい風が暖房で温まっていた体を一気に冷やす。
それでもベランダの柵に手をかけて雪を眺めていると、柊ちゃんもベランダに出て隣に並んだ。

雪を見ると、なんだか楽しくなってワクワクするような気持ちになるのは子供の頃から変らない。

空から降る雪に、
ベランダの柵から手をのばす。

手のひらに乗った雪は一瞬で解けた。

わかっていてもやっぱり残念で少し肩を落とした私を柊ちゃんが笑う。


「クリスマスもまだなのに、雪が降るなんてはやいね」


そう言って
隣に居る柊ちゃんの方を振り向く。

見上げる横顔は優しい。

「だな。今日かなり寒いし」

「このまま、もっと寒くなる?」

降る雪を見つめながら柊ちゃんにそう尋ねた。

< 203 / 276 >

この作品をシェア

pagetop