秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


「分かった。じゃあ明日は車だすよ」

「ありがとう」

そう言うと、柊ちゃんの大きな手が私の頭にのった。
ただの気のせいかもしれないけど、
その手がほんの少しだけ私を引き寄せたような気がした。

「若菜、今までありがとう」

いつもより近い距離で柊ちゃんの声が響いて。
慣れた大好きな柊ちゃんの匂いがして。

声を出したらきっと震えるから、
黙ったまま頷いた。




< 205 / 276 >

この作品をシェア

pagetop