秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
黒川から荷物を受け取って、
黒川がいつものように綺麗に微笑んで綺麗に小さく頭を下げて、失礼しますと部屋を出ていこうとする腕をガッと掴んだ。
黒川が驚いたように小さく目を見開く。
「どうされました?」
「あっ、ご、ごめん」
そう言って思わず掴んでいた手をパッと離す。
切り出しにくい‥とは思いつつ、
ここまできてやっぱりなんでもないですと通せる気もしなかったのでやっぱり尋ねる事にした。
「黒川ってさ、彼女とかいるの?」
──なんか恥ずかしい。
切り出し方を外したような。
「‥‥いえ、今は特にそのような人は」
そう返す黒川は
珍しく少し動揺しているように見えた。
今は、って事はいたことはあるんだな。
確かに綺麗な顔してるし、と一人で納得する。
「なんか、今までで一番間が持ったデートって、どんなだった?」
「え。間が持った、ですか?」
黒川がまた驚いたように目を丸くして─‥
そして、いきなり何かを悟ったような表情になってクスッと笑った。
「最上様とのデートプランをお悩み中ですか」
「‥‥‥‥っ!」