秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

見事に言い当てられ、
それでもデートプランと言うのには何か違う気がして
どういう反応をとれば良いのかわからずにただ目を反らした。

「そんなに照れられなくても」

そう言って笑いながらも、
黒川は一拍おいて質問に答えてくれた。

「イルミネーションを見に行くのも意外と間が持ちますよ。話すっていうより見るのがメインだったりしますから。定番で言えば、映画とかですかね」

──それ、経験談なのかな。
なんて私らしくもなく野次馬心が顔を出す。

でも、
イルミネーションを見に行くの良さそう。
‥少し楽しそうだな。


「ありがとう。参考になった」

「それは良かったです。いつかお家の方にも招かれて下さい」

「いや、もうこれが最‥」


──これが最後だから。


そう口を滑らせそうになって慌てて呑み込んだ。
黒川が、一瞬訝しげに眉をひそめる。


「そうね。考えとく」

そう言い放つと、
黒川は違和感に気づかないふりをするようにニコっと微笑み、よろしくお願いしますと言って
部屋を後にした。

何も突っ込まれなかった事に胸を撫で下ろして、
小さくため息を漏らした。


再び一人になった部屋で、
最上さんにメールの返事を打ちながら、
クローゼットを開いて明日の服を迷う。

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