秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
小さく息を整えてから、
鞄を手にとって玄関へと急いだ。
恥ずかしいから絶対前みたいにお見送りとかしないでね、と両親には念を押しておいたので両親も玄関先まで出てくる事はなかった。
「お、お久しぶりです」
「久しぶり」
わざとじゃないのにつっけんどんな言い方になってしまった私に、最上さんが優しくそう返す。
最上さんはカジュアルなグレー系統の上下にワインレッドのロングコートを羽織っていて、それはそのスタイルによく映えていた。
‥‥悔しいけれどやっぱり格好いい。
思わず見惚れてしまいそうになりながら、最上さんの車に乗に乗せてもらう。
車に乗って暫く会話を交わしているうちに、
自分の中で大分緊張もほぐれてきた。