秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

まだ夕方だというのに日も落ちてきて、
街中のルミネーションですらないビルや建物の明かりも綺麗に光ってきた。

「暗くなるの結構早くなったな」

「そうですね」

運転中に最上さんがこぼした言葉に
一言だけそう返して。

慌てて
もう12月も半ばですから、なんて付け足す。

‥‥無愛想な上に口数も少ない自分を、
せめて最後くらいなおしたかった。

「12月も半ばっていうのが確かにもう早いよな。
あと少しでクリスマスか」

そう言われて気がつく。
クリスマス、か。

やたらと街中に恋人が溢れ出すあの行事はあまり得意ではなかった。

もし私達が偽装の婚約者同士じゃなくて、
本当の婚約者同士だったら、
最上さんと過ごす事になったのかな。

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