秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「‥すごく綺麗です」

「だな」

優しい声が返ってきて、
思わず目の奥が熱くなった。

‥‥‥‥嫌だなぁ私。

気がつきたくなかった。
──自分が、最上さんに惹かれてるなんて。

いきなり最上さんの事を誘って
こうやって会うのを最後にしたのも、
結局はこれ以上想いが大きくなるのが怖かったからだ。

それなのに最上さんは九条さんには相手が出来たとか言い出すし、それを私は確かめることすらできない。

「今宵さん、どうかした?」

いきなり足取りの重くなった私を心配してか、
そうやって最上さんが心配そうに声をかけてくれる。

「なんでもありません。
ただ見とれてただけです」

「いや、そんな顔じゃなかったけど‥」

「私は元々そういう顔をしてるんです」
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