秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
海斗さんの事を好きになれたら。
柊ちゃんの事を忘れられたら。
そう出来たらどんなにいいだろう。
私も今年で27歳だ。
海斗さんみたいな素敵が私なんかに交際を申し込んでくれたのに、それを断ろうなんて自分でも馬鹿だってわかってる。
それでもすぐに気持ちを海斗さんに向ける事は出来ないし、なにより海斗さんに失礼だと思った。
何て言って断ろう‥。
そう考えて俯いていると、
トントンっと誰かに肩を叩かれてハッとした。
イヤホンを外しながら振りかえる。
海斗さんだ。
いつみてもお洒落な海斗さんに少し緊張しながら小さく頭を下げた。
「海斗さん、こんにちは」
自分の中で勝手に気まずくて、
思わず挨拶がぎこちなくなってしまう。
私がそんな様子だったから、
海斗さんにクスっと笑われてしまった。