秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「ここから少し歩くんですけど大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」

そう答えてから、
海斗さんの横をついていくように歩く。

さすがクリスマスイブというか、
街にはいつもより沢山の人で賑わっている。

そして‥。
横をすれ違う人達がチラチラと海斗さんを見ていくのがなんとなくわかった。

やっぱり海斗さんってスタイルいい分目立つな。
身長が貧相な私と並ぶと余計に‥。

そんな事を考えながらふと海斗さんを眺めると、
その視線に海斗さんが気づいた。

「すみません、少し速かったですか?」

「いえ、そうじゃなくて‥!」

元々私に合わせて遅めていてくれたのであろうスピードをもっと落とさせそうになってしまい慌てて首を振った。

「やっぱり人が多いなぁって思って。
クリスマスイブだからですかね」

「ですね。今日はイブだし、
九条さんはサンタに何かお願いしました?」

「子供じゃないから、してません」

そう笑って返す頃には、
私の緊張もだいぶほぐれていた。



< 238 / 276 >

この作品をシェア

pagetop