秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

海斗さんに連れられるようにして、
私達はそのまま投影室の外へ出た。

泣いている顔を見られたくなくて、
自分でも情けなくて目の前の海斗さんから顔をそらすように頭を下げた。

「海斗さんすみません私、
いきなり泣きだしたりなんかして…」


もう大丈夫なので戻りましょう。そう言おうとした言葉は海斗さんに遮られた。


「謝るのは俺の方です。
最上社長が婚約なさったからって九条さんにつけこんで。…すみません、何か思い出させたんですよね?」

違う。
海斗さんは何も悪くない。


せっかく海斗さんがプラネタリウムに連れてきてくれたのに、うじうじと柊ちゃんの事を考えてあまつさえ泣き出してしまう私が100パーセント悪いに決まってる。

そう思うのに、喉の奥に何かつまったように上手く声が出ない。

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