秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

隣で黒川も驚いたように目を見開いたのがわかった。

「これ、イブとクリスマスをロマンチックな船上の上で、って…今日じゃない!」

「そうよ。
最上さんとどうかしらって、サプライズで。最上さんにも事前に券は送ってあるの。二人への、私達からのプレゼントよ。」




最上さんにも券は送ってあるの。





そんなお母さんの言葉に、今度こそ目眩を覚えた。思わずこめかみを抑えて俯く。


「最上さんにも送った…?」

「そうだよ。
だって今までずっとお見合い話を端っこから蹴ってきた今宵が、初めて最上君とは仲良くやっているようで、お父さんとお母さんは本当に嬉しいんだよ」

「…………。」


眩しい位にあたたかな優しい微笑みを浮かべるお父さんに、いたたまれなさすぎて思わず顔を背けた。

嘘…。

まさかこんな、最上さんと策謀した計画が裏目に出るなんて……。

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