秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

重いため息をつきながらそこまで言いかけて…はっとした。

連絡が取れないなら、九条さんの家まで行けばいいんだ。

九条さんの家…。

最上さんの車で送り迎えして貰った事が今までに何度かある。
最上さんの車の中から、"九条"と表札の掛かった立派な家を見た事がある。

同じ苗字の全く別の人かもしれない。
ビンゴだとしたら九条さんはかなりいい家に住んでいる事になる。

確信ではないけれど、もしかしたら。




「──…黒川、急いで車出して!」








車を出して貰ったのはいいものの、
九条さんの家かもしれない家まで辿り着くのは簡単では無かった。

元々道を覚えるのが得意な方ではない、
というかどこへ行くにも道を覚える必要のない生活を送っているから重度の方向音痴。

そもそも道を覚えようとしていた訳でもないのだからなおさらだ。
< 253 / 276 >

この作品をシェア

pagetop