秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
船に乗り、案内された部屋に入って思わずため息をついた。
さすがは豪華客船のスイートルームといった内装。
クリスマスクルーズを男1人がスイートルームで楽しむって…
すごい画だな。
そう失笑しながら無駄に大きいソファに腰掛ける。
若菜は、今年のクリスマスは海斗さんと過ごすんだろうな。
───私、今日成宮さんに付き合おうって言われたの。
頭の奥で若菜の声が響く。
若菜を取られたくないと強く思った。
…自分の中にあんなに熱があるなんて知らなかった。
どうして、いつまでも若菜が俺の側に居てくれるような錯覚を覚えていたのだろう。