秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
♢
まさか今宵さんが来たのか?
そう思いながらフロントのある一階に降り、
──目を疑った。
ゆるく巻かれたくり色の髪。
ヒールを履いていても少し低めな身長。
どこか不安そうにキョロキョロとしていた瞳が、俺を見つけてふわっと微笑む。
「柊ちゃん!」
そう名前をよんで駆け寄ってくる若菜。
「若菜…え、何で…?」
「これ、
今宵さんに頼まれて届けに来たんだよ」
状況を呑み込めないままの俺に、
若菜がそう言って紙袋を差し出した。
今宵さんに頼まれたって、
どういう事だ…?