秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


若菜がここに来た時から話がおかしいとは思っていた。

若菜をここまで送る時間はあるのに自分で渡しに行く時間が無いというのがまず変だ。

俺に会うのが煩わしくてというならまだわからないでもない。

それでも若菜に2時間も遅れた出航時間を伝えて、出航時間ギリギリに船に乗せたとなると話は別だ。
それも若菜にルームキーまで持たせて。


──…これはもう、
意図的だとしか考えられない。


このおかしな状況も、全ては今宵さんの俺を想った計画通りなのだろう。

思えば今宵さんは出会った時から俺と若菜の事を応援してくれていた。

その気持ちは嬉しくて有難い。



…でも。

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