秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「若菜、仕方ないからもう行こう」

「え、何処に?」

「207号室」

そう言って部屋までの道を無言で歩いた。
不安そうに若菜が後ろをついてくる。

何か話さないと、状況を理解出来ている筈もない若菜をさらに不安にさせる事は分かっていたが、それでも何を話したらいいのか分からなかった。

何も話さない俺に、
若菜も何も聞かない。

フロントに降りてくる時よりずっと長く感じた道を進んで
部屋の前まで辿り着くと
思わず小さなため息が漏れた。

誤魔化そうかと思ったが、部屋に堂々と俺の荷物が置いてある時点で隠し様がない。

若菜が今宵さんから預かった物ではなく、
ジャケットの内ポケットに入れておいたルームキーを取り出し、それでロックを外すと若菜が目を丸くするのが分かった。
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