秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

そのままドアを開け、部屋を入る。

「ねぇ柊ちゃん、どういう事?
どうして柊ちゃんも鍵、持ってるの?」

「………。」

そんな若菜の言葉を背中で聞きながら、
ソファの近くに置いていた荷物を持った。

荷物と言っても男の一泊する為の荷物など大した量ではなく、これならフロントにでも預けられるなと思った。

「俺はロビーのソファか何かで寝るから、
若菜はここで…」

そう言いかけて
振り返った時だった。



若菜が、
ぱたぱたと両目から涙を流して立っていた。


「……っ」


頭から冷水を被ったように目が醒める。

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