秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


「どうして…何も答えてくれないの?」

嗚咽を堪えながらそう尋ねる、今にも消え入りそうな若菜の細い声が耳を刺す。

「ついこの間まで、一緒に住んでたのに、
同じ部屋に泊まるの…そんなに、嫌?」


「……っ」


俺が──…
俺が、泣かせた。
誰より一番傷つけたくなかったのに。
若菜の涙声が心臓を深く抉る。

混乱している若菜に、俺は黙って説明も言い訳さえもしなかった。
怖がらせて困らせて。

本当に俺はどこまでも最低だ。


唇を噛んで黙っている俺をみて肯定していると取ったのか、若菜はひどく傷ついたような顔になって。


「ごめん、今宵さんに来て欲しかったよね。
柊ちゃんはここにいて。私がロビーに…」


気がつけば、少し震えた声で無理して笑顔を作る若菜の腕を掴んでいた。そのままグッと自分の方に引き寄せる。

小さな若菜の体は、軽く引き寄せただけであっけなく腕の中に収まった。


「泣かせてごめん、若菜。」

「柊ちゃん…?」



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