秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
柊ちゃんの結婚





「柊が頑固に受け取らなくてな。君から柊を説得して欲しい。」


お見合い写真を手渡されて、そう言われてフリーズしたかのように固まる。



「‥‥‥‥‥。」


「相手は、アーネスト・デイミュージック株式会社のご令嬢、藤乃今宵さんだ」


お見合い。

柊ちゃんが、結婚する。


はい、と返事をして頷けばいいのに、まるで夢の中で現実味のない話をされているようで、ぼうっとしてしまう。

私─‥いま、どんな顔してるのかな。

なんだか今まで感じたことがないような、不思議な感覚に襲われた。

そんな私をみる光一さんの目が鋭くなったのがわかった。

返事、しないと。

ぼうっとした気持ちのまま、
ゆっくりと頷いた。

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