秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
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柊ちゃんがまだ28歳という若さにしてaria芸能プロダクションの社長を勤めている理由――それは、元々aria芸能プロダクションの社長を勤められていた柊ちゃんの父親である、最上誠一郎さんが心筋梗塞で亡くなられたからだ。
母親とは、柊ちゃんが物心もつかないくらい幼ない頃に既に死別している。
誠一郎さんが亡くなられて、会社を大騒ぎさせたのは、一体誰がaria芸能プロダクションの社長の地位を引き継ぐのかという問題だった。
当時、専務であり誠一郎さんの右手としてお仕事されていた光一さんが引き継がれるのではないか――後から聞いた話だが、そんな憶測がなんとなく会社内では流れていたらしい。
何しろ息子である柊ちゃんは当時まだ26歳。
社長の椅子に座るには、いくらなんでも若すぎる。
光一さんが後を継がれると考えるのが一番自然な流れなのである。