秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
だが、aria芸能プロダクションの社長になったのは当時たった26歳の柊ちゃんだった。
誠一郎さんの社長秘書を勤めていらした方が、生前に誠一郎さんから聞いていた話を主張されたのだ。
──自分に何かもしもの事があった時、自分の後を継ぐのは柊だけだ。
秘書さんに託された誠一郎さんの想い。
遺言状にもテープにもその証拠は残っていないのだから、光一さんが継ごうとおもえば継げたはずだった。
だが、誠一郎の意思を尊重したいとおっしゃって、光一さんと秘書さんとの合意の上で柊ちゃんに社長の椅子が回る事になった。
柊ちゃんがまだ若いせいで、各方からもちろんいろんが反発もあった。
どうしても発生する誠一郎さんとの小さな方針の違いへのバッシングも。
でも、今はもうそんな文句一つ出ない程に柊ちゃんは会社を引き継ぎ――むしろ盛り上げた。