秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

カツカツ‥と、部屋に近づく足音が聞こえた。

──誰か来た!

「た、助けて‥‥!!」


出る限りの大きな声を出してそう叫ぶと、
足音が急に速くなって‥

ガタンっと乱暴に部屋のドアが開いた。


「‥‥‥‥‥!」



── 柊ちゃんだ。

嘘‥‥。

怖かった。
心の中で名前を何度も叫んだ。

柊ちゃんが、助けに来てくれた。

安心して、泣きそうになって顔が歪む。

柊ちゃんの目が、男と、それに跨がれている私を捉えた瞬間、柊ちゃんが信じられない位怖い顔になった。

「しゃ、しゃ、社長‥‥」


入ってきたのが最上社長なのだと気がついたのか、今まで赤く熱を帯びていた男の顔からサーっと血の気が引いていくのが見てとれた。

「─離れろよ」

あんまり低い声だったから、一瞬柊ちゃんの声だと分からなかった。

柊ちゃんがそのまま物凄い勢いでカツカツと近づき、乱暴に男を私から引き剥がす。

そのまま柊ちゃんが男の襟首をガッと掴んで至近距離で睨み付けると、そのまま勢いよく男を床に叩きつけた。

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