秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

私が柊ちゃんの秘書についてからの最初のお仕事は、まず柊ちゃんを朝起こす事から始まった。

小さな頃から柊ちゃんの朝の弱さは筋金入りで、それは大人になった今でも。

家にも携帯にも何度も電話をかけて、それでも反応が無く急いで家まで言ってインターフォンを何度も鳴らして柊ちゃんを起こす‥という日々が続き、私の体力的にも一緒に住んだ方が楽だろうという事になり、

そういう訳で秘書を初めてからわずか一週間で私と柊ちゃんの同居生活は始まったのだった。


「腹も減ったし、早く家帰ろうか」

コーヒーを飲み終えた柊ちゃんがそう言って腰を浮かせる。

「うん」


私もコクンと頷いて鞄と上着を手に取る。
そのまま二人で部屋を出て、エレベーターを使って7階分降り、エントランスから外に出て─‥雨が降っていることに気がついた。


「‥‥どうしよう柊ちゃん、傘とか持ってきた?雨、降ってきたみたい」

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