秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
海斗さんはポーカーフェイス


柊ちゃんになら何をされても嫌じゃない。

そう言って柊ちゃんに泣きつく。



触って。あの男の感触を忘れさせて。
声にならない願いを思わず心の中で叫ぶ。

「え‥‥」

柊ちゃんが驚いたように目を見張る。
そして、切なげに顔を歪めた。

柊ちゃんの遠慮がちな腕が、私の肩を優しく抱く。

そして‥‥気づけば、柊ちゃんの腕の中に閉じ込められていた。

あんまり変な事言うな、と、耳元で困ったような声でそう囁かれ、柊ちゃんが、安心させるように私を優しく抱き締める。

柊ちゃんの匂いに包まれて、どうしようもなく安心する。

そして─‥‥柊ちゃんの右手が、私の頭を優しく撫でた。



「柊ちゃん‥‥助けてくれてありがとう」

「‥‥うん」


そう言うと、最初は私を安心させるようだった力で抱き締められていたのが、やがて少し痛いくらいに強く抱き締められ、思わず心臓が跳ねた。
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