秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

そして─‥
顔をあげると、海斗さんと目があった。

「‥‥‥‥!」

私に気がついたのか、海斗さんが小さく頭を下げる。

私もハッとしてお辞儀を返した。

周りの視線が気にならないでもなかったが、急いで海斗さんに駆け寄る。

「今日は本当にすみません、こちらから指定しておいていきなりこんな‥」

「いえ、こちらこそ父がご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。‥‥これ、お借りしてもいいですか?」

「え?」

これ、と言って海斗さんの視線が注がれているのは資料が入っている紙袋だ。

どうしてだろうと思いつつ紙袋を手渡す。

「もう片方もいいですか?」

「‥‥‥‥!」

そう言って、もう一つの紙袋に手を伸ばされた時にハッと気がづいた。

「大丈夫です!あの、悪いです、私一人で持てます!」

そう言ってバッと片方の紙袋を背中に隠そうとするが、海斗さんの長い腕が伸びてあっけなく奪われた。


「あ、海斗さん!」

「部屋にご案内します」


申し訳ないことに海斗さんに全部荷物をもってもらい、私はほぼ何も持っていない状態になってしまった。

正直重いなぁと感じていた両手が急に軽くなり、楽になる。
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