秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「すみません海斗さん、全部持ってもらっちゃって。重いですよね、やっぱり私持ちます」

「大丈夫です」

そう即答され、そのまま部屋に案内してくださるという海斗さんの後についていく。

「‥ありがとうございます」

少し見上げるような柊ちゃんと似た背中。

こういう事をサラっとやってくれる所。

――なんだか柊ちゃんに似てるな。
そんな事を思って、思わず頬が緩んだ。





通されたのは応接室。
椅子に案内されて腰かける。

エトワールの豪壮な外装のイメージとはまた違った、落ちついていて素敵な部屋。

わぁ、すごい‥!ちり一つ落ちてないんじゃないかってくらい綺麗だ。

わ‥‥アンティーク風の椅子に腰かける海斗さんが絵になりすぎてる。

思わずあたりを見回してしまっていると、クスッと海斗さんから笑い声がした。

「何か面白い物でもありました?」

「あ、いえ!素敵な部屋だなって思って。すみません、見回しちゃったりして」

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