秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
海斗さんはポーカーフェイスだから、冗談が分かりにくくて本気で驚いてしまう。
海斗さんが冗談を言うタイプだというのも意外だった。
私もつられてクスクス笑う。
「何から何まですみません。重い資料まで運ばせて、それに劇場までみせてもらっちゃって」
「俺が勝手に見せたかっただけです。それに、資料の事気にしすぎですよ。俺と九条さんとじゃ体格が違います」
「‥‥‥海斗さん、それ遠回しにチビだっていってます?」
「そんな事言ってないですよ。華奢で素敵だなぁって思ってます」
「なんですか、それ」
そんなやりとりの中で、思わず吹き出してしまった。
海斗さんの事、最初はクールな人なのかなって少し怖かったけれど、優しくて面白い人だったんだな。
昔から少し男の人は苦手で、柊ちゃん以外の男の人とあんまり雑談する事も少なかったけれど、自分が自然に話せている事に少し驚いた。
――少し、似てるからかな。
「‥‥、俺の顔、何かついてます?」
「へっ?あ、いえ何も‥!」
思わず見つめてしまっていたことに気がついてあわてて目を反らした。
「すみません、‥海斗さんってちょっと最上社長に似てるなぁって思って」
「え、俺がですか?」
海斗さんが意外そうに目を丸くする。