秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。





──‥結局、マンションについたのは9時すぎだった。
二人で息をあげながら鍵をかけて部屋に入る。

すると、柊ちゃんが私に被せていたコートを剥がした。

「あー‥やっぱけっこう濡れたな」

そう言う柊ちゃんは、私とは比べ物にならないくらいにびしょ濡れだ。

私は頭の回転が遅いからただ驚いているだけだったけど、私の事を濡らさないようにコートを被せてくれたんだ。

優しくて、自分の事は二の次な所は昔から変わらない。

「ううん、コートのおかげで全然だよ。ごめんね、柊ちゃんの方がずぶ濡れだもん。すぐお風呂の用意してくる‥!」

「いやいや、まず体拭こうな」

「はーい‥」


確かに柊ちゃんの方が全然ひどいけどお互いに身体中濡れている。私達は床を濡らしながらリビングまで進み、部屋干ししていたタオルでまず体を拭いた。
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