秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
◇
──‥結局、マンションについたのは9時すぎだった。
二人で息をあげながら鍵をかけて部屋に入る。
すると、柊ちゃんが私に被せていたコートを剥がした。
「あー‥やっぱけっこう濡れたな」
そう言う柊ちゃんは、私とは比べ物にならないくらいにびしょ濡れだ。
私は頭の回転が遅いからただ驚いているだけだったけど、私の事を濡らさないようにコートを被せてくれたんだ。
優しくて、自分の事は二の次な所は昔から変わらない。
「ううん、コートのおかげで全然だよ。ごめんね、柊ちゃんの方がずぶ濡れだもん。すぐお風呂の用意してくる‥!」
「いやいや、まず体拭こうな」
「はーい‥」
確かに柊ちゃんの方が全然ひどいけどお互いに身体中濡れている。私達は床を濡らしながらリビングまで進み、部屋干ししていたタオルでまず体を拭いた。