秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
それでも、そう言ってもらえてなんだか気持ちが楽になった気がした。
ずっと親と比べられる事に悩んで来たけれど、一番比べて勝手に傷ついているのはいつも自分自身だ。
「全然そんな事ないんですけど‥あ、ありがとうございます」
つっかえながらもそうお礼を言う。
「‥いえ。九条さんって表情がコロコロ変わって面白いですね」
「え?いやそんな事は」
「――俺、九条さんを最初のお客さんにしてもいいですか?」
そうサラッと聞かれて、一瞬海斗さんが何の事を言っているのかわからなかった。
最初の、お客さん?
どういう事なのかわからなくて、見上げる横顔に思わず首をかしげる。
「あの、最初のお客さんって‥‥」
「エトワールにプラネタリウムが設置できたら、その最初の上映を九条さんに見て欲しいって事です」
あくまでもナチュラルにそう言う海斗さんに、一瞬ポカンとしてしまった。
やっと意味を理解して、驚きのあまり思わず目を丸くした。
最初のお客さんって、私が!?
ただの企画を支援する会社の社長の秘書なだけの私が‥!?
そういうのは、その場のノリなんかで
決めちゃ、絶対海斗さんが後悔する。
「か、か、海斗さん!そんな、私なんかが最初のお客さんだなんてもったいなすぎます。よく考えられた方が‥」
「今よく考えて思ったんです。‥‥あ、九条さん、ステージにも上がってみます?」
「‥‥へっ?え、ま、待ってください!」