秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
◇
結局、ステージにまで上がらせてもらった後、病院から帰られて体調が回復された成宮さんと、息を切らしながら駆けつけた柊ちゃんとの四人が揃い、応接室に移動してその日のうちに打ち合わせを終えた。
改装工事を頼む業者やコーディネーターを無事決め終え、後は確認と予約の電話を入れるだけとなった。
話もだいぶ片付くと、柊ちゃんが改めて頭を下げた。
「‥‥今日は本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。時間もこちらから指定させて頂いたのに」
「そんな、こちらこそ父のお見苦しい理由でご迷惑をおかけしました」
そう言って海斗さんも頭を下げる。
「いやぁ本当にすまないよ。柊君は仕事だったんだからしょうがないとして、私なんか息子に止められた食べ物たべて腹下すなんて本当馬鹿だよなぁ、すまん!」
そう言って謝られる成宮さん親子に私も謝り返そうとしたが、収集がつかなくなりそうだったので、ただ頭を深く下げた。
――帰りはタクシーではなく柊ちゃんの車に乗って帰れる事になった。
車の助手席に乗り込み、シートベルトをはめようとすると、運転席の柊ちゃんが、ごめんと呟いて深く落ち込むようなため息をつく。
「ごめんな九条。迷惑ばっかかけて‥。連絡してやれなくて焦らせたよな。」
「トラブルがあったんですから仕方ないです。最上社長は何にも悪くないですよ」
めずらしく落ち込んだ様子の柊ちゃんにそう声をかける。