秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
マナーの悪いマスコミの記者さんに審査員の一人が注意をしたところ、ちょっとした喧嘩になってしまい、混乱してしまったそうなのだ。
「その、オーディションはちゃんと治まりましたか?」
「まぁ‥なんとか。俺がもっとちゃんとマスコミの規制とか考えてればよかったんだ。結局打ち合わせまで遅れて。ごめん、本当迷惑かけてばっかだな」
「‥‥‥‥。」
柊ちゃんがこんな風に落ち込んだ姿を見せるのは珍しいから、少しだけ驚いた。
でも、よく考えたら今までこんな風に弱音を吐かなかった方がおかしいくらいに柊ちゃんはいろんな物を背負ってる。
お父さんを亡くされたばかりなのに、まだ若い柊ちゃんに譲られた社長の椅子。
どんなに柊ちゃんの側にいても、
きっと私にはその大変さの全部を理解することはできないだろう。