秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


「私、迷惑なんてかけられてません」

そう言って、気づけば柊ちゃんの頭に手を伸ばしていた。

柊ちゃんの頭が高くて少しきついけれど、
そのまま柊ちゃんの頭を撫でる。

―――柊ちゃんが、私にいつもしてくれるみたいに。

「え、若菜‥‥?」

柊ちゃんが驚いたように目を丸くする。

「いつも最上社長がやってくれる事のおかえしです。元気出てきました?」

そう言って、いつもとは違う立場で得意気に微笑んで首をかしげると、柊ちゃんがいたずらっぽく笑った。

「俺の頭撫でるために短い腕必死にのばしてくれてる九条見てると、なんか元気出てきた」

「‥‥‥‥!」

柊ちゃんの思いがけない言葉に、思わず小さく頬を膨らませてしまった。

柊ちゃんったらひどい。 身長だけじゃなくて、腕の短さまでからかうなんて。

やっぱり落ち込んでいても、
柊ちゃんは柊ちゃんだ。

「もういいです。
最上社長なんか知りません」

「ごめんって。冗談だよ」
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