秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

そう言って、私が柊ちゃんから離そうとした手をパシっと掴まれた。そのままグッと引かれて、何かを握らされる。

手に、何かひんやりした感触。
なんだろうこれ、‥鎖?

尋ねるように顔を見上げても何も言わない柊ちゃん。

恐る恐るゆっくり手のひらを広げる。


「えっ‥‥」

「お誕生日おめでとう、若菜」


掛けられた言葉と、手のひらの中に入っていたネックレスにこれ以上ないほど目を見開いた。

え、誕生日って‥。

優しく微笑む柊ちゃんに、
完全にポカーンとしてしまっている私。

柊ちゃんがあきれたように吹き出す。

「若菜って、仕事始めてからパッタリと自分の誕生日忘れるようになったよなぁ」


‥確かにそうかも、と言われて気がつく。

もう歳をとってもあまり嬉しくはならない年齢になったからだろうか。
去年も同じセリフを柊ちゃんから聞いた気がして、なんだか面白かった。

そっか。今日はやけに友達からのメールがたくさん届いてたから、仕事が終わってからチェックしようなんて思ってたけど、みんなお祝いのメールをくれてたんだ‥!

そっかそっか、そうだった!

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