秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「普通、いくら大人でも一週間前くらいからそわそわしだす物なんじゃないのか?」
柊ちゃんがそう言って呆れたように笑う。
「普通、そうなのかな。」
「まぁ若菜の場合はもうお約束だから今更驚かないけど」
「失礼だなぁ、たまたまだもん。来年はちゃんとワクワクして待つことにするね!」
「それ去年も聞いた」
そうやって意地悪な顔でニヤっとされ、
私も頬を膨らませておどけて返した。
おかしいな、人の誕生日はちゃんと覚えてるんだけどなぁ。
柊ちゃんとか家族の誕生日なんかはちゃんと一ヶ月前から意識していろいろ準備してたりする。
でも自分のはどうしても忘れがちだ。
それでも、
毎年こうやって柊ちゃんは私の誕生日を覚えててくれて、お祝いしてくれる。
なんだかサプライズみたいで喜びも倍増だし、無意識に忘れてるっていうのも悪くないかも、なんて心の中でクスっとした。
「柊ちゃん大好き。いつも私のお誕生日覚えててくれてありがとう」
「当たり前だろ。あ、それ貸して?」
それ、と言われて手のひらの中のネックレスに目を落とす。
シルバーチェーンに、その中央がきらきらと綺麗に光る小さな花の飾り。
あんまり綺麗で可愛くて、
思わず息をついた。
それをそのまま柊ちゃんに差し出す。