秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

すると、柊ちゃんがシートベルトを外して向き直り、少し手こずりながらもネックレスのチェーンを外すと、それをもって私の首に両手を回した。

「‥‥‥‥‥。」

「えっと、私自分でもつけられる、よ?」

チェーンをは外すのでさえ手こずっていた柊ちゃんが、留め具がみえない状態でネックレスをはめられるはずもなく。

頑張っている柊ちゃんに申し訳なさを感じつつ控えめにそう提案すると、柊ちゃんの顔が拗ねた。

「俺も出来るよ」

至近距離でそうボソっと拗ねたように呟かれ、思わず吹き出しそうになるのをぐっとこらえた。
‥柊ちゃんが可愛いなんて珍しいな。


その後も苦戦する柊ちゃん。

柊ちゃんは普段アクセサリーはつけない。
というか、見たことがないかも。
そもそも柊ちゃんってネックレスの金具を止めた経験とかあるのかな。

そんな事を思って、目の先鼻の先にある柊ちゃんの顔を見上げる。

すると、柊ちゃんもその視線に気がついたのか視線をネックレスから上げ─
至近距離で目が合った。

近い距離で絡まる視線。
首に回された柊ちゃんの腕。

‥‥思わず、自分の顔がカァっと思わず赤くなるのが分かった。

思わず顔を伏せると、顔が柊ちゃんの腕に小さく触れる。

「‥‥‥‥っ。」


じょ、じょ、条件反射だ。

相手が柊ちゃんだからとかじゃなくて、
こんな体勢だったら誰だって。

‥ドキドキなんてしてない。
私は照れてるだけなんだ。


「柊ちゃんごめん、何か照れるっていうか恥ずかしいから、後ろ向いてもいい‥?」

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