秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

ケーキが箱の中でころころ転がらないように、私が助手席で袋ごと箱を両手でしっかりと持った。

袋の中に差し込まれたチラシをガサっと取り出す。

「美味かったら、今年のクリスマスケーキもそこでいいかもな」

「え‥‥?」

チラシを見つめる私を横目でちらっとみた柊ちゃんがそんな事を呟いた。

頷こうとしてハッとした。

そっか、柊ちゃんが今年のクリスマスを一緒に過ごすのはきっと私じゃない。

今年だけじゃなくて、これからも。

そんな事を思って、不意に寂しくなって黙りこんでしまう。

恋愛っけの無かった柊ちゃんへの縁談、嬉しかったはずなのに。光一さんに頼まれて説得したのも私。

なのに、今日の私はなんだか変。

‥‥‥ううん、変じゃなくて、当たり前の事なのかもしれない。

こんなにずっと一緒にいたんだから、柊ちゃんは私にとって家族みたいな存在だ。

いつも優しくしてくれて、かまってくれたり二人で馬鹿な事で笑ったり。

柊ちゃんがどちらかというとしっかりしていて世話をやいてくれるから、柊ちゃんってもうお兄ちゃんみたいな感じだな。

お兄ちゃんが結婚する妹の気持ちが、
なんだかすごくすごく分かった気がした。
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