秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「悪い、誕生日に火傷させるとこだった」
「笑い事じゃないよ!」
柊ちゃんが強く引っ張らなかったら、今頃ストーブにダイブしていた。
柊ちゃんのことだから、全部想定内の事だったのかなぁなんて思う。
――結局、その日はうなぎの出前とさっき買ったケーキを食べながらお笑い番組をみて過ごした。
「うなぎってこんなに美味しかったっけ、そういえばすごく久しぶりだね」
「子供の頃はよく食べてたけど、
なんかいきなり高くなって手が遠のいてたんだよなぁ」
柊ちゃんは社長さんなんだけど、どこで身につけたのか昔からそんな庶民的な感覚を持ち合わせてる。
柊ちゃんの好きな所だ。
それも、親近感があって人に好かれやすい理由の一つなのかな。
「でもやっぱ美味いな。
うん、俺の誕生日もうなぎの出前で」
「柊ちゃん、気が早いよ」
笑いながらそう答えて、少しだけ胸がチクっとした。
うなぎを頬張りながら、ちらっと柊ちゃんを横目でみる。
「ん、どうした?」
「えっ‥‥あ、美味しいなぁって思って」
「そうだな」