秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
お見合い 今宵side
「気になりますか?」
「‥‥え‥」
なんだか自分には華やか過ぎるワンピースが気になって、思わず裾をいじっているとそんな声が掛かった。
「よくお似合いですよ」
「そういうのいいから」
無駄に端正な顔で、私の執事である黒川が綺麗に微笑む。
そんな黒川をキッと睨み付けて席を立った。
「今宵様、どちらへ?」
「言わせないでよ」
そう冷たく黒川に言い放ち、ポーチを持ってから化粧室へと向かった。
――私、藤乃今宵は、大手芸能グループの社長と今日お見合いをする。
お父さんから決められた、
世に言う政略結婚だ。
トイレの鏡の前に立ち、思わずため息をつく。
少しつったようなキツい目元に、
不機嫌そうな口元。