秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


――結婚なんて全然乗り気じゃない。

恋愛に希望や夢を持っていて、政略結婚に抵抗があるわけではない。

ただ、相手に幻滅されるのが怖いのだ。

こんな無愛想でキツい顔をした私なんて、誰も好きになるはずがない。

冗談なんて言えないし、性格だって可愛げがなくて面白くないこと位分かってる。

愛想笑いをすることさえ苦手だ。





「‥‥はぁ」


別段トイレに行きたかった訳でもなかったので、鏡で時間稼ぎに化粧を直してからトイレを出た。

そのまま部屋に帰ろうとして、部屋の突き当たりで足を止めた。
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